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法定相続人以外に遺産を渡す方法とは?

遺産相続という言葉を聞くと、配偶者や子供などの身近な親族が財産を受け継ぐ姿を想像するのが一般的です。
しかし、実際には長年連れ添った内縁のパートナー、お世話になった友人、あるいは社会貢献を目的とした団体などに財産を託したいと考える方も少なくありません。
日本の民法では法定相続人という枠組みが定められていますが、個人の財産を誰に渡すかは、生前の意思表示によって柔軟に変更することが可能です。
本記事では、法定相続人以外の方に遺産を渡すための具体的な方法と、その際の注意点について解説します。

遺言書による遺贈の活用

法定相続人以外に財産を渡す方法として、遺言書を作成して遺贈を行う方法が挙げられます。
遺贈には、特定の財産を指定して渡す特定遺贈と、財産の何分の一といった割合を指定して渡す包括遺贈の2種類があります。
特定遺贈では、たとえば特定の不動産を友人のA氏に譲るといった指定が可能です。
一方で包括遺贈は、プラスの財産だけでなく借金などのマイナスの財産も引き継ぐことになるため、受け取る側の負担を考慮して選択する必要があります。
遺言書は法律で定められた形式を守らなければ無効となるため、確実に意向を反映させるためには公正証書遺言を選択することが推奨されます。
自筆での作成も可能ですが、形式の不備によって意向が守られないリスクを避けることが大切です。
公正証書遺言であれば、原本が公証役場に保管されるため、紛失や改ざんのおそれもありません。

死因贈与契約の締結

遺贈と似た仕組みに死因贈与があります。
これは、贈与者が亡くなったことを条件として財産を贈るという、生前の契約です。
遺言が遺言者による一方的な意思表示であるのに対し、死因贈与は贈与者と受贈者の双方の合意に基づいた契約である点が大きな違いです。
契約として成立しているため、遺言よりも受贈者の地位が安定しやすいという側面があります。
ただし、不動産を死因贈与する場合、登記の手続きにおいて他の相続人の協力が必要になるケースがあるため、あらかじめ執行者を指定しておくなどの対策が必須となります。
契約書を公正証書で作成しておくことで、将来のトラブルを未然に防ぐ土台となります。
また、死因贈与は贈与税ではなく相続税の対象となる点も覚えておくべき知識です。

生前贈与による移転

将来の相続を待つのではなく、生きているうちに財産を渡す生前贈与も有力な選択肢です。
受け取る側がすぐに財産を活用できるというメリットがあり、贈与する側もその様子を見届けることができます。
ただし、生前贈与には贈与税がかかるため、税負担のシミュレーションが欠かせません。
年間110万円の基礎控除を利用した暦年贈与や、相続時精算課税制度の活用など、税務上の有利な選択肢を検討することが求められます。
また、亡くなる直前に行われた贈与は、相続財産に持ち戻して計算される期間の制限が強化されているため、早めの行動が重要となります。
時間をかけて計画的に財産を移転させることで、将来の相続税の負担を軽減する効果も期待できます。
贈与契約書をその都度作成し、証拠を残しておくことが税務署への対策としても有効です。

生命保険金の受取人指定

生命保険は、契約によって受取人を指定できるため、特定の人物にまとまった現金を残す手段として非常に有効です。
法律上、生命保険金は受取人固有の財産とみなされるため、原則として遺産分割協議の対象にはなりません。
そのため、他の親族との話し合いを経ることなく、迅速に金銭を渡すことができます。
かつては配偶者や2親等以内の親族のみを受取人に指定できるのが一般的でしたが、最近では内縁のパートナーなどを指定できる商品も増えています。
ただし、保険会社ごとに引き受けの基準が異なるため、事前に契約内容を確認しておく必要があります。
葬儀費用や当面の生活資金として、確実かつ速やかに現金を渡したい場合に適した手法です。
受取人を変更する手続きだけで済むため、遺言書を書き直すよりも手軽な場合があります。

養子縁組による法的地位の付与

財産を渡したい相手を法律上の相続人にしてしまうという方法が養子縁組です。
養子縁組をすると、その人物は実子と同じ第1順位の法定相続人としての権利を得ます。
これにより、遺言書を書かなくても当然に相続権が発生し、基礎控除額の増額といった税制上のメリットも享受できる場合があります。
たとえば、孫や子供の配偶者、あるいは長年連れ添ったパートナーと養子縁組を行うケースが見られます。
ただし、他に子供がいる場合には、その方々の相続分が減少するため、親族間の感情的な対立を招くリスクがあります。
家族全体のバランスを考慮し、事前の説明や同意を得るなどの配慮が望まれます。
一度結んだ縁組を解消するのは容易ではないため、長期的な視点での慎重な判断が必要です。

遺留分に関する重大な注意点

遺言や贈与で法定相続人以外に遺産を残す場合、注意すべき点は遺留分です。
遺留分とは、配偶者や子供などの近親者に法律上保障されている最低限の相続割合のことです。
たとえ遺言で友人に全財産を譲ると書いてあっても、法定相続人はこの遺留分を侵害されたとして、受け取った側に対して金銭を請求することができます。
これを遺留分侵害額請求と呼び、請求を受けると、受け取った側が多額の現金を支払わなければならない事態に陥ります。
親族間での激しい争いを防ぐためには、遺留分を侵害しない範囲で財産を配分するか、あるいは遺留分を放棄してもらうなどの対策を講じることが重要です。

まとめ

法定相続人以外の方に遺産を渡すための手段は、多岐にわたります。
それぞれの方法にはメリットだけでなく、税務面や法律面での注意点が存在します。
遺言などに不安がある場合には弁護士などの専門家に相談することを検討してください。