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遺言書の内容に納得できない場合の対処法

亡くなった家族の遺言書の内容があまりに不公平である場合、納得できないこともあるでしょう。
今回は遺言書の内容に納得できない場合の対処法について解説します。

遺言の有効性を争う方法

遺言の内容や成立過程に重大な疑問がある場合、まずはその遺言が法的に有効なものであるかを精査する必要があります。
もし遺言が無効であれば、相続人全員による遺産分割協議を行うことになります。

遺言無効確認請求訴訟の提起

遺言が偽造された疑いがある場合や、遺言者に遺言能力がなかったと考えられる場合には、遺言の無効を裁判所に確認する訴えを提起できます。
これを遺言無効確認請求訴訟と呼びます。
特に自筆証書遺言の場合、本人の筆跡ではない疑いや、他人が手を添えて無理やり書かせた形跡があるといった事案が少なくありません。
また、作成当時に重度の認知症を患っていた場合などは、遺言の内容やその結果を理解する能力、すなわち遺言能力が欠如していたと判断される可能性があります。
裁判所は、遺言能力の有無を判断する際、当時の精神状況だけでなく、遺言の内容が複雑であったか、あるいは動機が自然であったかといった点も総合的に評価して遺言が無効かどうかを判断します。

形式的な不備による無効の主張

自筆証書遺言には、法律によって厳格な作成ルールが定められています。
全文を本人が自書していること、日付を正確に記載していること、氏名を明記し押印していることなどが条件となります。
たとえば、日付が2025年4月吉日のように特定できない記載であったり、パソコンで作成された本文に署名しただけであったりする場合は、その遺言は無効となる可能性があります。
また、訂正の方法が法律の定める方式に違反している場合も、その訂正箇所の効力が否定される可能性があります。
公正証書遺言であっても、証人の立ち会いに不備があったり、公証人に対する口授が適切に行われていなかったりすれば、無効を争う余地が生まれます。

個別の権利関係を争う方法

遺言書自体の無効を直接確認するのではなく、遺言に基づいて行われた個別の手続きを覆すことを目的とする手法もあります。
たとえば、遺言によって不動産の名義が書き換えられてしまった場合に、その所有権移転登記の抹消を求める訴えなどがこれに該当します。
あるいは、すでに預貯金が引き出されている場合には、不当利得返還請求として金銭の返還を求める給付の訴えを提起する方が、紛争の最終的な解決に直結する場面もあります。
どのような訴訟形式を選択するかは、遺産の現状や相手方の対応状況によって判断する必要があります。

遺留分侵害額の請求

遺言書が法的に有効であったとしても、相続人には法律上保障された最低限の取り分が存在します。
これを遺留分と呼びます。

遺留分侵害額請求の手順

配偶者や子ども(代襲相続人を含む)、直系尊属には、遺言によっても奪うことのできない遺留分が認められています。
具体的な手順としては、まずは遺産を多く受け取った受遺者や受贈者に対して、遺留分侵害額に相当する金銭の支払いを請求する意思表示を行います。
当事者間での話し合いによる合意に至らない場合は、家庭裁判所へ遺留分侵害額請求調停を申し立て、第三者を交えた解決を図ります。

行使の期限と時効

遺留分侵害額請求権は、相続の開始および遺留分を侵害する贈与や遺贈があったことを知った時から1年を経過すると、相手方から時効を援用されると権利が消滅します。
また、相続開始の時から10年を経過した場合には権利が消滅します。
期限を1日でも過ぎてしまうと、どれほど不当な内容であっても権利を行使できなくなる可能性があるため、慎重なスケジュール管理が求められます。

複数の主張を並行して行う際の留意点

遺言無効を主張する場合は、以下の点に留意が必要です。

予備的請求の必要性

遺言無効確認請求訴訟は、事実関係の争いが激しくなる傾向にあり、第一審の結論が出るまでに1年以上、控訴審を含めれば数年に及ぶことも珍しくありません。
もし遺言が無効であるという主張だけに絞って戦い、数年後に敗訴が確定した場合、その時点ではすでに遺留分の請求期限を過ぎてしまっていることになります。
このような事態を防ぐために、遺言は無効であると主位的に主張しつつ、万が一遺言が有効と判断された場合に備えて、予備的に遺留分を請求する意思表示を早い段階で行っておくことが重要です。

専門的な判断の重要性

遺言書の有効性を判断するための証拠収集や、遺留分の算定における財産評価は、極めて専門性の高い作業です。
特に不動産や非上場株式の評価額に争いがある場合、その金額の変動によって遺留分の額も数百万単位で変わる可能性があります。
また、生前贈与を特別受益として持ち戻す計算などは、法的な知識がなければ正確に行うことは困難です。
個人の判断で相手方と交渉を進めることは、不適切な譲歩を強いられたり、感情的な対立を深めたりする結果を招く可能性があるため、冷静な対応が求められます。

まとめ

今回は遺言書の内容に納得できない場合の対処法について解説しました。
遺言は、被相続人の最終意思表示であるため、基本的に覆すことは難しいです。
とはいえ、形式の不備や内容によってはご自身の不利益を最小限に抑えられる可能性があります。
お悩みの方は弁護士に相談することを検討してください。