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遺産分割協議がまとまらない場合の対処法

相続が開始し、遺言書が残されていない場合、被相続人の財産を誰がどのように引き継ぐかを決める遺産分割協議が行われます。
この話し合いは、意見の対立によって平行線を辿るケースも少なくありません。
しかし、遺産分割がまとまらない状態を放置しておくと、不利益が生じる可能性があります。
今回は、遺産分割協議がまとまらない原因と対処法について解説します。

遺産分割協議とは

遺産分割協議とは、被相続人の遺言で財産の指定がなかった場合に相続人で行う遺産分割の取り決めをする話し合いをいいます。
この協議には、法定相続人全員が参加しなければならないというルールがあります。
また、遺産分割協議の結果をまとめた遺産分割協議書は、あらゆる相続事務において正当な権利を証明するために欠かせない役割を担っています。

遺産分割協議がまとまらない主な原因

遺産分割がまとまらない主な原因として、以下が考えられます。

感情的な対立

遺産分割の場は、家族間の感情的な対立が生じやすい場面でもあります。
被相続人との生前の関係によってそれぞれの主張が対立することも少なくありません。
感情が絡むと、遺産分割の合意を目指すのは難しくなりやすいといえます。

不動産の評価額

預貯金のように正確に分けづらい不動産が遺産の中心である場合、遺産分割協議は難しくなりやすいです。
たとえば、実家を維持したい相続人と売却したい相続人の間で利害が衝突することがあります。
このような場合の不動産の分割方法として、代償分割が検討されます。
代償分割では、特定の相続人が不動産を相続し、他の相続人に代償金を支払うことで公平性を調整します。
代償金の金額は、不動産の評価額を参考に当事者間の合意によって決定されます。
そのため、不動産の評価額をめぐって争いが生じやすいです。

特別受益や寄与分の主張

特定の相続人が被相続人から生前に多額の援助を受けていた場合、遺産の先渡しとして特別受益が発生します。
他の相続人から請求があると、特別受益を受けた者との意見の対立によって争いになる可能性があります。
また、長年の介護や家業の手伝いを通じて財産の維持に貢献したと主張する寄与分の要求が出た場合には、寄与分を認めて遺産に上乗せするかどうかについて寄与者とその他の相続人の間で意見の相違が起きやすくなります。

遺産分割協議がまとまらない場合の対処法

遺産分割協議が行き詰まった際には、以下の手順を検討しましょう。

弁護士を代理人に立てて交渉する

当事者同士で遺産分割協議が進まない場合、弁護士に依頼することで、話し合いがまとまることがあります。
弁護士は、依頼者の意向に沿った分割案を考え、解決をサポートします。
他の相続人との交渉を任せられる点も、弁護士に依頼するメリットです。

遺産分割調停を申し立てる

遺産分割において合意が得られない場合、家庭裁判所を利用した遺産分割調停の手続きを利用できます。
調停とは、裁判所から選ばれた2名の調停委員と1名の裁判官で構成される調停委員会が当事者の間に入って話し合いを仲裁する仕組みです。
調停委員は双方の言い分を聞きながら解決案を提示し、合意を促します。
遺産分割調停を重ねてもどちらか一方が合意を拒み続けた場合、手続きは自動的に審判へと移行します。
審判では、裁判官が提出された証拠や事実関係を精査し、法律に基づいて強制的に遺産の分割方法を決定します。
審判書には確定判決と同一の強力な法的拘束力があり、特定の相続人が判決に従わない場合でも、強制的に預金の解約や不動産の名義変更を進めることができるようになります。

地方裁判所で訴訟を申し立てる

遺産分割において意見の対立が激しい場合には、地方裁判所にて訴訟を申し立てることも手段として挙げられます。
一般的には、家族関係の問題は基本的に話し合いで解決すべきであるという考え方から、訴訟を提起する前に調停を経なければならないという調停前置主義が採用されています。
しかし、遺産分割の紛争に関しては、協議にて話し合いの余地がない場合には調停を経ずに訴訟を起こすことができます。
ただし、裁判になった際には自身の主張の正当性を裁判官へ示さなければならないため、入念な準備が必要です。
また、終結まで長い時間がかかる可能性があります。

遺産分割協議がまとまらない場合の注意点

遺産分割協議がまとまらない場合の対処法として法的な手続きを進めるにあたっては、以下の点に留意してください。

証拠の確保

寄与分や特別受益を主張する場合、裁判所を納得させるためには客観的な証拠が欠かせません。
過去の事実を証明できる資料を整理しておくことが重要です。
主観的な記憶だけでは、審判で主張を認められることは困難だといえます。

相続税の申告期限との兼ね合い

相続税の申告と納税には、被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10ヶ月以内という期限があります。
遺産分割がまとまらないままこの期限を過ぎてしまうと、節税効果の高い制度が原則として適用できなくなるリスクがあります。
協議が難航すると予想される場合は、早い段階で専門家のサポートを受けることを検討しましょう。

まとめ

今回は、遺産分割協議がまとまらない主な原因と、そのような状況に陥った場合の対処法について解説しました。
遺産分割協議がまとまらない状況は、多くの場合相続人に精神的負担と法的なリスクをもたらします。
個人だけでは問題の解決が難しいと感じた際には、専門家に相談することを検討してください。